病名から探す 脳血管の病気

頸動脈狭窄症とは?動脈硬化が脳梗塞につながる仕組み

公開日 監修:理事長 菅原 道仁(脳神経外科専門医)

健診の結果に「頸動脈にプラークがあります」「IMT肥厚」と書かれていた——。痛くもかゆくもないのに、何のことだろうと不安になって検索された方も多いのではないでしょうか。

それは、頸動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)のサインかもしれません。脳の入り口にあたる首の血管が動脈硬化で細くなる病気で、自覚症状のないまま進行し、ある日突然、脳梗塞という形であらわれることがあります。このコラムでは、この病気の仕組みと、脳梗塞になる前にできることをお伝えします。

この記事のポイント

  • 頸動脈は心臓から脳へ血液を送る「脳の入り口」です。ここが細くなると脳梗塞の原因になります
  • 細くなっても自覚症状はほとんどありません。「見つける」には専門的な検査が必要です
  • 頸動脈エコーは痛みのない検査で、動脈硬化の進み具合をその場で確認できます

頸動脈狭窄症とはどんな病気?

頸動脈は、あごの下あたりで脳へ向かって枝分かれする、首の太い血管です。この枝分かれ部分は血流の負担がかかりやすく、血管の内側にコレステロールなどがたまったかたまり(プラーク)ができやすい場所です。

プラークがたまって血管が細くなっても、それだけでは自覚症状はほとんどありません。しかし、プラークの一部がはがれて流れたり、プラークの表面に血のかたまり(血栓)ができて流れたりすると、その先の脳の血管を詰まらせ、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)を引き起こします。

片方の手足の脱力やしびれ、ろれつの回りにくさ、片方の目にカーテンがかかったように数分間見えなくなる症状(一過性黒内障・いっかせいこくないしょう)が出た場合は、頸動脈狭窄が背景に隠れていることがあります。

どのくらいの人にあるの?

頸動脈狭窄症は、動脈硬化が進む中高年以降に増えてきます。特に、高血圧・糖尿病・脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い状態)のある方、喫煙される方に多くみられます。

日本の脳梗塞は、かつては脳の中の細い血管の病気が中心でしたが、生活習慣の変化とともに、頸動脈など太い血管の動脈硬化が原因となる脳梗塞の割合が増えてきています。

また、動脈硬化は全身で同時に進みます。心臓の血管(冠動脈)や足の血管に動脈硬化を指摘されたことのある方は、頸動脈にも及んでいることが多く、あわせて調べることをおすすめします。

なぜ脳梗塞につながるの?

原因は動脈硬化です。高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙・肥満などによって、血管の内側にコレステロールなどがたまり、プラークとなって血管を狭くしていきます。

怖いのは、この過程が長い年月をかけて静かに進むことです。痛みなどの自覚症状がないため、ご自身では気づかないうちに悪化し、あるとき突然、剥がれたプラークや血の塊が流れて頭の血管を遮断し、発症に至ります。後遺症をもたらす恐れや再発のリスクを伴うからこそ、予防することがきわめて重要です。

どうやって見つけて、どう治療するの?

首に超音波をあてる頸動脈エコー検査で、痛みなく調べることができます。血管の壁の厚さ(IMT)、プラークの有無や性質、狭窄の程度がその場で分かります。より詳しく調べる必要がある場合は、MRA検査(血管を映すMRI)などを追加します。

治療の基本は、動脈硬化をこれ以上進めないことです。コレステロールを下げる薬や、血栓を防ぐ薬(抗血小板薬)を使いながら、高血圧・糖尿病などの危険因子を管理します。この管理は当院で継続的に行えます。

狭窄が高度な場合や、脳梗塞・TIAを起こした場合には、プラークを取り除く手術(頸動脈内膜剥離術・けいどうみゃくないまくはくりじゅつ)や、カテーテルで血管を広げて金属の筒(ステント)を置く治療が検討されます。とくに脳梗塞・TIAを起こした直後は、早い時期に治療するほど次の脳梗塞を防ぐ効果が大きいことが分かっています。その際は、脳血管の治療を専門とする医療機関と連携してご紹介します。治療後の経過観察は当院で継続できます。

予防のためにできることは?

予防は、動脈硬化対策そのものです。血圧・血糖・コレステロールの管理、禁煙、減塩とバランスのよい食事、適度な運動を心がけましょう。運動を控える必要はなく、むしろウォーキングなどの習慣は動脈硬化の進行を抑える方向に働きます。

そして、リスクをお持ちの方は、一度、頸動脈の状態を検査で確認しておくことをおすすめします。頸動脈エコーは体に負担の少ない検査です。脳ドック(自費診療)とあわせて受ければ、脳の血管と首の血管をまとめてチェックできます。

これって受診すべき?——緊急度の目安

  • すぐに119番
    • 片方の手足の脱力・しびれ、ろれつの回りにくさがいま続いている(脳梗塞の可能性)
    • 上記の症状が数時間以内に出て消えた(症状が消えていても、救急車を呼んで構いません)
  • 当日中に受診
    • 上記の症状が出たが、数分〜数十分で消えた(TIAの疑い。夜間・休日なら救急外来へ)
    • 片方の目が数分間、カーテンがかかったように見えなくなった(一過性黒内障の疑い)
  • 近いうちに当院へご相談
    • 健診・人間ドックで「頸動脈狭窄」「プラーク」「IMT肥厚」を指摘された
    • 高血圧・糖尿病・脂質異常症・喫煙歴があり、首や脳の血管を調べたことがない

救急車を呼ぶべきか迷ったときは、救急安心センター事業「#7119」に相談することもできます(※お住まいの地域によっては利用できない場合がありますので、ホームページでご確認ください)。

総務省消防庁ホームページ「救急安心センター事業(#7119)ってナニ?」

よくあるご質問

健診でプラークを指摘されました。すぐに危険なのですか?

プラークがある=すぐに脳梗塞、というわけではありません。健診で軽いプラークやIMTの肥厚を指摘される方は多く、その多くは動脈硬化の「初期サイン」です。大切なのは、狭窄の程度とプラークの性質を評価したうえで、動脈硬化を進めない管理を始めることです。まずは検査で現状を正しく知りましょう。

頸動脈エコーはどんな検査ですか?

首に超音波をあてて血管の中を観察する検査です。痛みも放射線の被ばくもなく、外来でそのまま受けられます。血管壁の厚さ・プラーク・狭窄の程度がその場で分かります。

手術が必要になるのはどんなときですか?

狭窄が高度な場合や、脳梗塞・TIAを起こした場合に検討されます。適応は狭窄の程度・症状の有無・全身状態をふまえた総合判断で、薬物治療のみで経過をみる場合も多くあります。必要な場合は、脳血管の治療を専門とする連携先へご紹介します。

生活で気をつけることはありますか?

血圧・血糖・コレステロールの管理と禁煙が柱です。動脈硬化は全身で進むため、頸動脈の管理は、そのまま心臓や脳全体を守ることにつながります。

おわりに――「症状が出てから」では遅い病気だから

頸動脈狭窄症は、症状が出てから見つかるのでは遅い病気です。裏を返せば、症状のないうちに見つけて対策を始めれば、脳梗塞の危険を下げることができる病気でもあります。

次のうち、1つでも当てはまる方はご相談ください

  • 健診で「プラーク」「IMT肥厚」「頸動脈狭窄」と書かれたことがある
  • 高血圧・糖尿病・脂質異常症のいずれかがある
  • タバコを吸っている(吸っていた)
  • 心臓や足の血管の動脈硬化を指摘されたことがある

脳と首の血管をまとめて調べたい方には、MRI・MRA・頸動脈エコーを組み合わせた脳ドック(自費診療)もご用意しています。内容・費用は脳ドックのご案内ページをご覧ください。

参考文献

  • 日本脳卒中学会 脳卒中ガイドライン委員会 編 (2025). 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2025〕. 協和企画.
  • 日本脳ドック学会 脳ドックのガイドライン2026改訂委員会 編 (2026). 脳ドックのガイドライン2026. 中外医学社.
  • 公益社団法人日本脳卒中協会 https://www.jsa-web.org/

気になる症状は、お近くのクリニックへご相談ください

〒107-6102 
港区赤坂5-2-20赤坂パークビル2F
03-5573-8822
FAX03-5573-8820

営団地下鉄千代田線赤坂駅より徒歩5分。
丸の内線・銀座線赤坂見附駅より約10分。
詳しいアクセスを見る >

診療時間 月 火 水 木 金 土 日/祝
9:00〜17:00 ● ● ● ● ● ● ー
脳ドック・DWIBS・
診療 予約
菅原クリニック「東京脳ドック」アクセス地図
03-5573-8822
Web予約