病名から探す 頭痛の病気

後頭神経痛とは?後頭部がピリッと痛むときに考えること

公開日 監修:理事長 菅原 道仁(脳神経外科専門医)

後頭部にピリッ、と電気が走るような痛み。髪をとかしただけでズキッとする。「脳に何かあるのでは」と不安になって検索した——そんな経験はありませんか。それは「後頭神経痛(こうとうしんけいつう)」かもしれません。このコラムでは、後頭神経痛の特徴、注意が必要な頭痛との見分け方、治療とセルフケアについてお伝えします。

この記事のポイント

  • 後頭部にピリッと電気が走るような短い痛みを繰り返すのが特徴です。髪や頭皮に触れるだけで痛むこともあります
  • 首や肩のこり、うつむき姿勢が関係すると考えられている神経の痛みで、多くは命に関わるものではありません
  • 数日〜数週間で軽くなる方が多い一方、突然の激しい頭痛や、しびれ・脱力を伴う頭痛は急いで受診が必要です

後頭神経痛とはどんな痛み?

後頭神経痛とは、後頭部の感覚を伝える神経(大後頭神経〔だいこうとうしんけい〕・小後頭神経など)が刺激されて起こる痛みです。「ピリッ」「ズキッ」「キリキリ」と表現される鋭く短い痛みが、数秒から数分の単位で繰り返し起こります。

片側の後頭部に起こることが多いですが、両側に出ることもあります。頭のてっぺんや耳の後ろまで痛みが走ることもあります。髪をとかす、頭皮に触れる、枕に頭をつけるといった軽い刺激で痛みが誘発されるのも特徴で、痛みのない時間には、しびれた感じや鈍い痛み、違和感が残ることもあります。

ズキンズキンと脈打つ片頭痛や、頭全体が締め付けられる緊張型頭痛とは、痛みの性質が異なります。ただし、緊張型頭痛と同じく首や肩のこりが背景にあることが多く、両方を併せ持つ方もいます。

どのくらいの人に起こるの?

日本の頭痛外来では、後頭部の痛みの原因としてしばしば診断されます。年齢を問わず起こり、デスクワークやスマホの使用時間が長い方に多い印象がありますが、これを裏付ける確かなデータはまだありません。

なぜ後頭部の神経が痛むの?

大後頭神経や小後頭神経は、首の筋肉の間を通って頭皮に向かいます。首や肩の筋肉がこわばると、筋肉の間で神経が圧迫・刺激されて痛みが起こる、と考えられています。長時間のデスクワークやスマホ操作によるうつむき姿勢、猫背、冷え、ストレスなどが、筋肉のこわばりを強める要因になります。

ただし、後頭神経痛の中には、首の骨(頸椎)の変化や、けが(むち打ちなど)、まれに神経の通り道にできた腫れ物など、別の原因が隠れていることがあります。痛みが長引く場合や、いつもと違う症状を伴う場合に画像検査を行うのは、こうした原因を見逃さないためです。

また、帯状疱疹(たいじょうほうしん)の初期に、後頭神経痛によく似た痛みが出ることがあります。数日して痛む場所に発疹(水ぶくれ)が出てきた場合は、早めの治療が大切ですので、すぐに受診してください。

どうやって治すの?

後頭神経痛は、数日から数週間で軽くなる方が多い痛みです。まずは、首や肩のこわばりをほぐすこと、姿勢を見直すことが基本です。

痛みが強い場合は、一般的な鎮痛薬(アセトアミノフェンや消炎鎮痛薬)のほか、神経の痛みを和らげるタイプの薬を使うことがあります。市販の鎮痛薬で軽くなることもありますが、効きが悪い場合や繰り返す場合は受診をおすすめします。なお、鎮痛薬を飲む日が月に10日を超える状態が続くようなら、薬の飲みすぎがかえって頭痛を増やす「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の心配も出てきます。飲み続ける前にご相談ください。

予防のためにできることは?

後頭神経痛の予防は、首や肩の筋肉をこわばらせない生活が基本です。この点は緊張型頭痛の予防と共通しています。

長時間のデスクワークでは1時間に1回を目安に休憩をとり、首や肩を動かしましょう。うつむいてスマホを見続ける姿勢は首の筋肉に負担をかけますので、画面を目の高さに近づける工夫も役立ちます。

入浴で体を温める、体を冷やさない、自分に合った高さの枕を選ぶことも、こりの軽減につながります。なお、運動やお出かけを控えるといった一律の生活制限は必要ありません。

受診の目安

  • すぐに119番
    • 突然の、これまで経験したことのない激しい頭痛(くも膜下出血など、急を要する頭痛の可能性があります)
    • 頭痛とともに、手足のしびれ・力が入らない、ろれつが回らない、ものが二重に見える(脳卒中の可能性があります)
  • 当日〜数日中に受診
    • 発熱があり、首が硬くて前に曲げにくい
    • 痛む場所に赤い発疹・水ぶくれが出てきた(帯状疱疹の可能性があります)
    • 転倒や事故のあとから痛みが続いている
    • 50歳を過ぎて初めて経験する頭痛、または日に日に強くなる頭痛
  • 近いうちに当院へご相談
    • 後頭部のピリッとした痛みが数日たっても良くならない、繰り返す
    • 市販の鎮痛薬で痛みが十分おさまらない
    • 頭皮に触れるだけで痛み、日常生活に支障がある

判断に迷うときは、救急相談ダイヤル #7119 も利用できます。

総務省消防庁ホームページ「救急安心センター事業(#7119)ってナニ?」

よくあるご質問

後頭神経痛は自然に治りますか?

数日から数週間で軽くなる方が多い痛みです。ただし、首や肩のこわばりなど背景にある要因が続くと繰り返しやすいため、姿勢の見直しやストレッチなどのセルフケアが大切です。

脳の病気とどう見分けますか?

ピリッと走る短い痛みを繰り返し、頭皮に触れると痛むのが後頭神経痛の典型です。一方、突然の激しい頭痛や、しびれ・脱力を伴う頭痛は急を要するサインです。診察で判断し、必要に応じてMRIなどの画像検査で確認しますので、心配な場合はご相談ください。

温めるのと冷やすの、どちらがよいですか?

首や肩のこりが背景にあることが多いため、温めて楽になる方が多いです。入浴や温めたタオルで首まわりを温めてみてください。ただし、温めてかえって痛みが強まる場合は無理に続けず、ご相談ください。

マッサージはしてもよいですか?

やさしくほぐす程度であれば、楽になる方が多いです。ただし、痛む場所を強く押したりもんだりすると、神経を刺激して痛みが強まることがありますので、心地よい強さにとどめましょう。

おわりに――「脳の病気かも」という不安ごと、ご相談ください

後頭部の鋭い痛みは、ほとんどの場合、命に関わるものではありません。しかし、後頭部の痛みには、まれにくも膜下出血など見逃してはいけない病気が隠れていることもあります。当院では、診察で頭痛のタイプを見極め、必要に応じて画像検査を行ったうえで、痛みの治療とセルフケアの方法をお伝えします。「検査して何もなければ、それがいちばんの安心」です。

こんな方はご相談ください

  • 後頭部のピリッとした痛みを繰り返している
  • 髪をとかす・触れるだけで後頭部が痛む
  • 脳の病気ではないか不安で仕方がない
  • 市販薬でしのぐ日が増えてきた

参考文献

  • 頭痛の診療ガイドライン2021(日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会監修、医学書院)
  • 国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)日本語版(日本頭痛学会)
  • 一般社団法人日本頭痛学会 https://www.jhsnet.net/index.html

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