首こり・肩こりがつらい|「こり」から来る頭痛の正体と、見逃してはいけないサイン

公開日 監修:理事長 菅原 道仁(脳神経外科専門医)

夕方になると、肩に重い石を乗せられたように、首から肩がガチガチにこわばってくる。こりがひどい日は、頭全体がギューッと締め付けられるように痛む。マッサージに行っても、数日でまた元通り——。そんなつらさを抱えていませんか。

首こり・肩こりは、パソコンやスマホが手放せない私たちにとって、とても身近な悩みです。そして、つらいこりの多くは頭痛と深くつながっています。このコラムでは、こりから来る頭痛の正体と対処法、「こりが原因」と思い込みやすい片頭痛との違い、そして「ただのこり」に見えて注意が必要な病気のサインをお伝えします。

この記事のポイント

  • 首や肩の筋肉のこわばりは、頭全体が締め付けられるように痛む「緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)」と関係しています
  • ズキンズキンと脈打つ「片頭痛(へんずつう)」でも、頭痛の前や最中に首・肩のこりを感じる方が多く、「肩こりのせい」と思い込まれがちです
  • 温める・こまめに動かす・姿勢を見直すことが、こりと緊張型頭痛への基本の対処です
  • 発熱とともに首が硬くて曲げにくいとき、突然の激しい頭痛が起きたときは、急いで受診が必要なサインです

まず確認:こりに見えて注意が必要なサイン

次のような場合は、単なるこりではない可能性があります。ためらわずに受診してください。

  • 発熱があり、首が硬くて前に曲げにくい(髄膜炎〔ずいまくえん〕=脳を包む膜の感染症などの可能性)
  • 首の痛みと同時に、これまで経験したことのない突然の激しい頭痛が起きた(くも膜下出血などの可能性)
  • 腕や手のしびれ・力が入りにくい、または歩きにくい・手が使いにくい(首の骨や神経の病気の可能性)
  • 安静にしていても痛みがどんどん強くなる
  • 転倒や交通事故のあとから首の痛みが続いている

首こり・肩こりには、どんな病気が関係しているの?

原因 特徴 対処の方向性
筋肉のこわばりによるこり(もっとも多い) 長時間の同じ姿勢・猫背・ストレス・冷えで悪化。夕方につらくなりやすい 姿勢の見直し・ストレッチ・温める
緊張型頭痛 こりに加えて、頭全体がギューッと締め付けられるように痛む セルフケアが基本。繰り返すなら受診を
片頭痛 ズキンズキンと脈打つように痛み、吐き気や、光・音がつらいことがある。頭痛の前ぶれや最中に首・肩のこりを感じる方が多い 緊張型頭痛とは治療が異なる。受診でタイプの見極めを
後頭神経痛(こうとうしんけいつう) 後頭部にピリッと電気が走るような痛み 受診で診断を。命に関わる病気ではありませんが、つらい痛みには治療があります
頸椎症(けいついしょう)など首の骨の病気 首を動かすと痛む。腕や手のしびれを伴うことがある 診察と画像検査で診断を
髄膜炎(注意) 発熱+首の硬さ+頭痛 急いで受診
くも膜下出血(注意) 突然の激しい頭痛。首の後ろの硬さを伴うことがある ためらわず救急車

関連する病気のくわしい解説

  • 緊張型頭痛とは?締め付けられる頭痛の原因と対処法
  • 片頭痛とは?ズキンズキンする頭痛の特徴と治療
  • 後頭神経痛とは?後頭部がピリッと痛むときに考えること
  • くも膜下出血とは?突然の激しい頭痛は迷わず救急へ

「肩こりのせい」と思っていたら、片頭痛だった——というケース

「肩こりがひどくなると頭痛がする」という方の中に、実は片頭痛の方が少なからず含まれています。片頭痛では、頭痛が始まる数時間前から首や肩のこり・重さを感じることが多く、頭痛の最中にも首の痛みを伴う方が7〜8割にのぼるという報告があります。そのため、こりが原因の頭痛(緊張型頭痛)だと思い込み、マッサージや市販薬でしのぎ続けてしまう方が少なくありません。

次のような特徴があれば、片頭痛の可能性を考えます。

  • 頭の片側(または両側)がズキンズキンと脈打つように痛む
  • 吐き気がする、光や音、においがつらい
  • 動くと痛みが強くなり、横になっていたくなる
  • 頭痛が数時間〜数日続き、寝込むほどつらいことがある
  • 家族にも同じような頭痛の人がいる

片頭痛には、痛みを抑える専用の薬や、頭痛の回数そのものを減らす予防薬があり、緊張型頭痛とは治療の考え方が異なります。「こりから来る頭痛」だと自己判断せず、一度タイプを見極めてもらうことが、楽になる近道です。

つらいこりは、どう対処すればいいの?

こりの多くは、長時間同じ姿勢でいること、猫背などの姿勢、ストレス、冷えなどによる筋肉のこわばりが背景にあります。まずは姿勢を見直し、仕事の合間にこまめに休憩を入れて、首や肩を動かしましょう。「1時間に1回」を目安にすると続けやすくなります。

夜はぬるめのお湯にゆっくり浸かる、温めたタオルを首に当てるなど、体を温めることも楽になる助けになります。マッサージも楽になる方が多いですが、痛みが出るほど強くもむのは避け、心地よい強さで行いましょう。また、高すぎたり柔らかすぎたりする枕が合わないと感じる方は、見直してみるのも一つの方法です。

ただし、これらは筋肉のこわばりや緊張型頭痛に向けた対処です。片頭痛の場合は、温めたり動いたりするとかえって痛みが強まると感じる方がいるため、頭痛のタイプに合った対処が必要です。

こうした対処をしても頭痛を繰り返す場合は、緊張型頭痛や片頭痛など、治療の選択肢がある頭痛になっている可能性があります。

もう一つ大切なのが、市販の鎮痛薬との付き合い方です。頭痛を薬でしのぎ続けると、薬の飲みすぎがかえって頭痛を増やしてしまう「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」につながることがあります。鎮痛薬を飲む日が月に10日を超える状態が続いているなら、一度ご相談ください。

病院ではどんな検査をするの?

診察では、こりや痛みの場所、起こり方、一緒に出ている症状(しびれ、発熱、吐き気、光や音のつらさなど)をうかがい、頭痛のタイプ(緊張型頭痛・片頭痛・後頭神経痛など)を見極めます。首の骨や神経の病気が疑われる場合や、注意が必要なサインがある場合には、必要に応じてMRIなどの画像検査を行います。

受診の目安

  • すぐに119番
    • 首の痛み・こわばりと同時に、突然の激しい頭痛が起きた
    • 意識がもうろうとする、けいれんを起こした
  • できるだけ早く(当日中に)受診
    • 発熱があり、首が硬くて前に曲げにくい(夜間・休日なら救急外来へ)
    • 腕や手のしびれ・力の入りにくさが急に出てきた
  • 近いうちに当院へご相談
    • こりに加えて、締め付けられる頭痛を繰り返している
    • こりのあとにズキンズキンする頭痛や吐き気が起こり、寝込むことがある
    • マッサージや市販薬でしのいでいるが、よくならない
    • 鎮痛薬を飲む日が月に10日を超える状態が続いている

よくあるご質問

肩こりがひどいと頭痛になるのはなぜですか?

首や肩の筋肉のこわばりと、頭全体を締め付けるような「緊張型頭痛」は密接に関係しています。ただし、その仕組みは「筋肉の緊張そのもの」「痛みを感じる神経が敏感になること」など複数の要因が関わると考えられており、まだ研究の途上です。こりと頭痛はセットで起こることが多く、こりのケアが頭痛の軽減につながる方も少なくありません。

肩こりのあとにズキンズキンする頭痛が来ます。これも肩こりのせいですか?

片頭痛の可能性があります。片頭痛では、頭痛の前ぶれとして首や肩のこりが出ることが多く、「こりが頭痛を引き起こしている」と感じやすいのです。吐き気を伴う、光や音がつらい、動くと悪化する、といった特徴があれば、緊張型頭痛とは治療が異なりますので、一度ご相談ください。

マッサージに通っていますが、治りません。受診した方がよいですか?

こりを繰り返す背景に、姿勢や生活習慣、頭痛のタイプの問題が隠れていることがあります。マッサージで改善しない場合や頭痛を伴う場合は、一度診察を受けることをおすすめします。

温めるのと冷やすの、どちらがよいですか?

筋肉のこわばりによるこり・緊張型頭痛には、温めて楽になる方が多いです。一方、ズキンズキンと脈打つように痛む片頭痛では、温めたり入浴したりすると痛みが強まると感じる方がいます。頭痛のタイプによって対応が変わるため、見極めが大切です。

市販の湿布や鎮痛薬を使い続けても大丈夫ですか?

短期間の使用は多くの場合問題ありません。ただし、鎮痛薬を飲む日が月に10日を超える状態が3か月以上続いている場合は注意が必要です。薬の飲みすぎがかえって頭痛を増やす「薬剤の使用過多による頭痛」になっていることがあるため、一度ご相談ください。

おわりに――そのこり、我慢し続けなくて大丈夫です

首こり・肩こりは「体質だから」「仕事柄しかたない」とあきらめてしまいがちです。しかし、こりから来る頭痛にも、こりを伴う片頭痛にも治療の選択肢があり、原因に合った対処で楽になる方は多くいらっしゃいます。そして、こりに見えて別の病気が隠れていないかは、診察や検査で確かめることができます。

次のような方は、一度当院へご相談ください。

  • こりと一緒に、締め付けられる頭痛を繰り返している
  • こりのあとに、ズキンズキンする頭痛や吐き気が起こる
  • マッサージや市販薬でしのぐ生活が続いている
  • 鎮痛薬を飲む日が月に10日を超えることが多い
  • 首や肩のこりに、しびれを伴うことがある

気になる症状は、お近くのクリニックへご相談ください

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