緊張型頭痛とは?頭が締め付けられるように痛むときの原因と対処法
頭全体がギューッと締め付けられるように痛む。ハチマキをきつく巻かれたような、重たい感じが続く。デスクワークの夕方になると決まって頭が重くなる――そんな経験はありませんか。
それは「緊張型頭痛(きんちょうがたずつう)」かもしれません。緊張型頭痛は、頭痛の中でもっとも多いタイプで、命に関わる病気ではありません。ただし、「いつもの頭痛だから」と放っておくと、痛み止めの飲みすぎや、別の頭痛との見分けがつかないまま長引いてしまうことがあります。
このコラムでは、緊張型頭痛の特徴・原因・対処法と、受診を考えていただきたい目安をわかりやすくお伝えします。

この記事のポイント
- 緊張型頭痛は、頭痛の中でもっとも多いタイプです。日本の調査では、成人のおよそ5人に1人が抱えていると報告されています
- 首や肩まわりの筋肉のこわばりや、ストレス・姿勢・睡眠などが関係していると考えられています
- 温める・体を動かすと楽になりやすい一方、片頭痛(へんずつう)では逆効果になることがあります。自己判断で決めつけず、一度正しい診断を受けることが大切です
緊張型頭痛の特徴
緊張型頭痛の痛みは、「頭全体を締め付けられるような」「重い帽子をかぶっているような」と表現されることが多く、ズキンズキンと脈打つ片頭痛とは異なり、ジワーッと持続する鈍い痛みが特徴です。
痛みの強さは軽度から中等度で、仕事や家事がまったくできなくなるほどのことは多くありません。ただし、頭痛が週の半分以上続く「慢性緊張型頭痛」になると、生活への影響が大きくなります。
片頭痛と違って、体を動かしても痛みは悪化せず、むしろ軽いストレッチや散歩で楽になることが多いのも特徴です。強い吐き気や嘔吐、光や音がつらくなる症状は、緊張型頭痛では通常みられません。こうした症状がある場合は、片頭痛など別の頭痛の可能性を考える必要があります。ふわふわしためまいや軽いむかつきを感じる方もいますが、それだけで頭痛の種類を判断することはできません。
緊張型頭痛のある方の多くは、首こり・肩こりを同時に感じています。長時間のパソコン作業やスマートフォンの操作、同じ姿勢での作業が多い方は注意が必要です。
緊張型頭痛はどのくらいの人が経験するの?
緊張型頭痛は、世界でもっとも多い頭痛です。世界的な調査では、およそ4人に1人が緊張型頭痛を抱えていると推計されています。日本国内の全国調査でも、成人の約22%(およそ5人に1人)に緊張型頭痛があると報告されています。
女性にやや多い傾向がありますが、片頭痛ほど大きな男女差はありません(女性が男性の1.2〜1.3倍程度)。また、子どもや10代でも珍しくなく、年齢とともに増えていきます。
なお、「女性に多いのは筋肉量が少なく冷えやすいから」という説明を目にすることがありますが、これは科学的に確かめられたものではありません。ストレス、睡眠、ホルモン、医療機関を受診する頻度の違いなど、さまざまな要因が重なっていると考えられています。
緊張型頭痛の原因について
「緊張型」という名前から、首や肩の筋肉の緊張だけが原因と思われがちですが、実際にはいくつかの要因が重なって起こると考えられています。

首・肩まわりの筋肉のこわばり
長時間同じ姿勢でいること、猫背、パソコンやスマートフォンの長時間使用などで、首や肩の筋肉に負担がかかり、痛みを感じやすい状態になります。緊張型頭痛の方では、首や肩を押したときの痛み(圧痛)が強いことが研究で確かめられています。
痛みを感じる仕組みの変化
頭痛が頻繁に起こるうちに、脳や神経が痛みに敏感になり、わずかな刺激でも痛みを感じやすくなることがあります。慢性緊張型頭痛では、このしくみが大きく関わると考えられています。
精神的なストレス・生活習慣
仕事や人間関係のストレス、不安、睡眠不足、不規則な生活、運動不足は、緊張型頭痛の引き金や悪化要因としてよく知られています。リモートワークで一日中座りっぱなし、という方も要注意です。
冷えや枕について
体の冷えも血行を悪くして、筋肉を緊張させ、緊張型頭痛を引き起こします。寒い冬だけでなく、夏場の冷房も原因となりますので、気をつけましょう。
睡眠時の枕が、自分の体にあっていないと、本来、緊張を緩和する睡眠が、逆に筋肉の緊張を引き起こす原因となります。
緊張型頭痛の治療・対処法
まずは生活の見直しから
緊張型頭痛の対策の基本は、首や肩に負担をかけない生活です。
- 1時間に1回は席を立ち、首や肩をゆっくり回す、軽く歩く
- 画面の高さを目線に合わせ、猫背にならないようにする
- ウォーキングなどの軽い運動を習慣にする
運動やストレッチは、緊張型頭痛の回数を減らす効果が複数の研究で報告されています。
温める・マッサージする
ぬるめのお風呂にゆっくり入る、蒸しタオルで首を温める、首や肩をやさしくもむことで楽になる方が多くいます。ただし、これらの方法が頭痛を減らすかどうかについては、研究の結果が一定していません。「気持ちがよい」「楽になる」と感じる範囲で取り入れてください。強くもみすぎると、かえって痛みが強まることがありますので、マッサージを受けるときは「緊張型頭痛がある」と伝えて、やさしく行ってもらいましょう。
お薬による治療
頭痛が起きたときは、イブプロフェンやロキソプロフェンなどの鎮痛薬(NSAIDs)、またはアセトアミノフェンが用いられます。市販薬でも効果が期待できます。
ただし、鎮痛薬を月に何度も飲む状態が続くと、「薬物乱用頭痛(薬の飲みすぎによる頭痛)」という別の頭痛を招くことがあります。目安として、鎮痛薬を飲む日が月に10日を超えるようであれば、いったん医療機関にご相談ください。
こった筋肉をゆるめる「筋弛緩薬(きんしかんやく)」やシップや塗り薬が処方されることもあります。
ストレスや不安が強い場合に抗不安薬が使われることもあります。
そのほかの治療
鍼(はり)治療や、ストレスへの対処法を身につける認知行動療法にも、頭痛を減らす効果が報告されています。
緊張型頭痛を予防するために

- 姿勢:猫背を避け、長時間同じ姿勢を続けない。1時間に1回は休憩を
- 運動:軽い運動やストレッチを毎日の習慣に
- 睡眠:寝不足も寝すぎも頭痛の引き金になります。規則正しい睡眠を
- ストレス:ため込まず、リラックスできる時間を意識的につくる
- 入浴:シャワーだけでなく、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる
- 枕:高すぎず、やわらかすぎないものを。合わないと感じたらタオルで高さを調整してみましょう(枕と頭痛の関係は個人差が大きく、確立した基準はありません)
「いつもの頭痛」でも一度は受診を
頭痛にはたくさんの種類があり、種類によって治療法が異なります。特に、頭痛の大半を占める緊張型頭痛と片頭痛は、対処法が逆になることがあります。緊張型頭痛は温めたり動いたりすると楽になりやすいのに対し、片頭痛は動くと悪化し、温めるとつらくなる方もいます。
さらに、「緊張型頭痛と片頭痛の両方を持っている」という方も少なくありません。自己判断で対処を続けるより、一度きちんと診断を受けることで、ご自身に合った対処法が見つかります。
すぐに受診していただきたい症状
緊張型頭痛の多くは命に関わるものではありませんが、次のような場合は、別の病気が隠れている可能性があります。早めに医療機関を受診してください。
よくあるご質問
緊張型頭痛は、温めるのと冷やすの、どちらがよいですか?
緊張型頭痛では、温めて楽になる方が多くいらっしゃいます。ぬるめのお風呂や蒸しタオルで首・肩を温めてみてください。一方、片頭痛では温めると悪化することがあり、冷やすほうが楽になる方が多いです。どちらの頭痛か迷う場合は、一度ご相談ください。
市販の鎮痛薬は効きますか?
緊張型頭痛には市販の鎮痛薬でも効果が期待できます。ただし、飲む日が月に10日を超えるようになったら、薬の飲みすぎによる頭痛を防ぐためにも、医療機関にご相談ください。
緊張型頭痛と片頭痛はどう見分けますか?
緊張型頭痛は、頭全体が締め付けられるような持続的な痛みで、動いても悪化しません。片頭痛はズキンズキンと脈打つ痛みで、動くと悪化し、吐き気や光・音がつらくなる症状を伴うことが多いです。両方を持っている方もいるため、自己判断せず受診して診断を受けることをおすすめします。
マッサージをしてもよいですか?
やさしいマッサージで楽になる方は多く、試していただいて構いません。ただし強くもみすぎると逆効果のことがあります。「緊張型頭痛がある」と伝えて、やさしく行ってもらいましょう。
子どもでも緊張型頭痛になりますか?
なります。子どもや10代でも珍しくない頭痛です。ただし、お子さんの頭痛は原因の見極めが大人以上に大切ですので、繰り返す場合は受診してください。
おわりに――つらい頭痛を、ひとりで抱え込まないでください
「頭痛くらいで病院に行くのは大げさかな」と感じる方は多いものです。けれども、緊張型頭痛はきちんと診断を受け、ご自身に合った対処法を知ることで、つき合い方が大きく変わります。
当院では、頭痛の種類を丁寧に見極めたうえで、生活の工夫からお薬の使い方まで、一人ひとりに合った方法をご提案しています。「これは緊張型頭痛なのか、それとも別の頭痛なのか」「痛み止めを飲む回数が増えてきて心配」――そんな不安をお持ちの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
「頭痛くらいで受診していいのかな」と迷っている方へ
その迷い自体が、ご相談いただく十分な理由です。当院では、まず頭痛の種類を丁寧に見極めるところから始めます。お薬を無理にお出しすることはありません。生活の工夫だけで楽になる方もたくさんいらっしゃいます。
次のうち、ひとつでも当てはまる方は、一度ご相談ください。
- 頭痛が月に何度も起こり、痛み止めを飲む日が増えてきた
- 温めても、動いても楽にならない頭痛がある
- 緊張型頭痛なのか片頭痛なのか、自分では判断がつかない
- 肩こり・首こりがひどく、頭痛とセットで続いている
当院では、頭痛の種類に合わせた対処法をご一緒に考えます。
参考文献
- 日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会 監修 (2021). 頭痛の診療ガイドライン2021. 医学書院.
- Headache Classification Committee of the International Headache Society (2018). The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition. Cephalalgia, 38(1), 1-211. DOI: 10.1177/0333102417738202
- 一般社団法人日本頭痛学会 https://www.jhsnet.net/
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